ベビー・リンクスはピカピカの外観が人目をひく、ちょっとおしゃれなフランスのカメラです。パリにあったポンティアック(Pontiac)社製のアルミダイカストボディを採用した35mm判レンズシャッター式小型カメラがです。
ポンティアック社は1938年にラロッシュ(M.Laroche)によってパリに設立されました。彼は偏光フィルターを開発・生産した人物として知られています。ポンティアック社の最初のカメラは、その名の通りベークライト製のベークライト(Bakelite)という6x9cm判フォールディングカメラで、これはドイツのエブナー社製のカメラと基本構造がほぼ同じものでした。
1940年代にはアルミダイキャスト製の堅固なボディとなった、ブロックメタル(Bloc-Metal)というフォールディングカメラのシリーズを製造しました。同様にアルミダイカストを採用した小型カメラとして、127判フィルムを使用するリンクス(Lynx)と35mm判フィルムを使用するベビーリンクス(Baby-Lynx)、スーパーリンクス(Super-Lynx)などのカメラを戦後に販売しました。
リンクスシリーズの最初のリンクス1型は、ベスト判(127判)を使用するレンズシャッター機でしたが、リンクス2型からフォーカルプレーンシャッター機になりました。その後パトローネに入った35mm判フィルムを使用する、小型されたベビーリンクス(Baby-Lynx)を1950年頃に発売しました。今回ご紹介するカメラです。その後ベビーリンクスを発展させてフォーカルプレーンシャッター式としたのが、スーパーリンクスでレンズ交換式のカメラになりました。
ベビーリンクスは、前板部を沈胴できます。シャッターはドイツのプロンター2型が採用されていて、シャッター速度は1秒~1/250秒の範囲です。標準レンズはフランスのソン・ベルチオ社製のフロール50mmF3.5が装着されています。最小絞りはF22です。フィルム巻き上げはノブ式で、フィルムカウンターは加算式で手動セットです。裏ぶたがヒンジで開きますので、フィルム装填は簡単です。ピント合わせは目測式で、最短撮影距離は0.8mです。ファインダーは逆ガリレオ式で、フレームはありません。
外観通りシンプルなカメラで、大きな特徴もありませんが、操作は容易です。撮影結果は作例をご覧いただけばわかるように、ソン・ベルチオのフロール50mmF3.5はシャープな写りで今でも十分楽しめます。弊社ではポンティアック社製のカメラの整備をお受けいたしておりますので、どうぞ遠慮なくご相談ください。
★フィルムはフジ業務用フィルム