戦前からの名門カメラメーカーである千代田光学が、戦後最初に企画開発したカメラがミノルタ35でした。戦後最初に発売したカメラはセミミノルタⅢAでしたが、これは戦前からの製品の焼き直しでした。ミノルタ35は国産のレンズ交換できるフォーカルプレーンシャッター式カメラでは4番目に登場しました。昭和23年(1948年)で、最初のモデルはミノルタ35Ⅰ型と呼ばれます。
ミノルタ35Ⅰ型はいわゆるライカコピーカメラのひとつですが、オリジナルのバルナックライカとはかなり異なる設計が行われていて、独自性の強いカメラです。外観からみるだけでもボディは八角形に近く、一眼式の連動距離計、裏ぶた開閉式、シンクロ接点搭載、セルフタイマー搭載と当時のライカⅢCよりも機能的に進んでいます。内部はフォーカルプレーンシャッター機構がライカと異なって、先幕と後幕を別のドラムに巻き付ける方式になっています。さらに撮影サイズは24x32mmの俗に日本判と呼ばれる長辺がかなり短いものです。標準レンズとして用意されたライカスクリューマウントのスーパーロッコールが45mmという焦点距離であったことも、他に例を見ないものでした。
ミノルタ35Ⅰ型はすぐにファインダー窓が大きく倍率も大きくなったミノルタ35Eとなり、セルフタイマーが3段切替となったミノルタ35Fと続き、昭和28年(1953年)2月にミノルタ35Ⅱ型が登場しました。ミノルタ35Ⅱ型は5年ほど製造されましたが、その間に細かな改良が加えられ、いろいろなバリエーションがあることが知られています。そして昭和33年(1958年)3月に発売されたのが今回ご紹介するミノルタ35BⅡ型で、ミノルタ35シリーズの最終機となりました。このカメラは1959年半ばには製造が中止されてしまいました。
ミノルタ35ⅡBはシリーズの中で唯一のレバー式巻き上げとなっています。またシャッターダイアルやフィルムカウンターが黒字に白文字となって見やすくなっています。ファインダー倍率も若干大きくなって0.8倍です。レンズはスーパーロッコールシリーズの標準の中で一番明るい50mmF1.8が搭載されました。それまでのレンズとは異なる新しい設計理論に基づいた高性能レンズで、その写りの良さが評判になったそうです。
今回スーパーロッコール50mmF1.8レンズで撮影してみましたが、作例写真のとおりたいへんすっきりした印象の写真が撮れるレンズで、明るめの発色がとても良い感じでした。今でも魅力的な名レンズだと思います。
ミノルタ35用の交換レンズとしては、標準レンズのスーパーロッコール45mmF2.8、50mmF2.8、50mmF2、50mmF1.8のほか、広角のロッコール35mmF3.5、WロッコールQF35mmF1.8、スーパーロッコール85mmF2.8、テレロッコール110mmF5.6、テレロッコール135mmF4が知られています。
弊社ではミノルタ35シリーズはすべてのカメラの整備が可能です。どうぞ遠慮なくご相談ください。
★フィルムはフジ業務用フィルムISO100