FOCA Universal RC with Oplarex 50mmF1.9
大きなファインダーが目を引く
今月はフランス製の珍しいレンジファインダーカメラ、フォカ・ユニバーサルRCをご紹介いたしましょう。弊社でオーバーホールが完了したばかりのカメラです。
フォカを製造したのは、フランスのO.P.L社です。Oputique et Precision de Lavallois(O.P.L.)社は1917年に創業した光学会社で1921年にO.P.L.の名称となりました。第二次世界大戦前は民生用の小型双眼鏡や軍需では戦艦の測距儀、航空カメラなどを製造していました。戦後は民生用35mm判カメラのほかに、顕微鏡、眼底カメラ、胃カメラなどを製造していたそうです。
戦後のフランスカメラを代表するカメラのひとつであるフォカ(FOCA)シリーズは、当時世界最高の性能を競い合っていたライカとコンタックスに並ぶ高性能カメラを、フランスでも製造しようということで1938年に開発が開始されたそうです。しかし第二次世界大戦が始まるとフランスはすぐにドイツの占領下となり開発が中断、プロトタイプが完成したのが1942年頃、実際に最初のフォカが登場したのは1943~1944年とのことです。このモデルはいわゆるフォカ・ツースター(☆☆)の系列で、連動距離計を内蔵し、布幕横走り式フォーカルプレーンシャッターを備えた高性能カメラです。
フォカは基本構造がライカと同様のためライカコピー機の範疇に含められることもありますが、その外観や操作性はライカとは異なるもので、特にユニークな点はシャッターダイアルでフィルム巻き上げとシャッターチャージをおこなうことでしょう。またフィルム装?の際、裏蓋はコンタックスのようにとりはずすことができるため、ライカに比べて装?は容易です。巻き上げ軸もとりはずすことができます。ひとつ注意が必要なのは、スプロケットにフィルムを固定する金具が備わっていて、フィルム装?時にはこの金具を一度跳ね上げフィルムを下に通してから金具をロックする必要があります。
ツースターの系列は1945年に量産モデルが登場、1947年にはPF2B、1952年にスロースピードが追加されたPF3と発展を続け、最終機のPF3Lは1959年に登場しました。PF3からは☆マークは3つになり、スリースター(☆☆☆)とも呼ばれています。ツースターから連動距離計を取り除き、搭載しているレンズを35mmとした広角専用機といえるワンスター(☆)は1946年の登場です。この系列は1948年にPF1とPTT、1953年には最終機となったスタンダール(Standard)が登場しました。
ツースターをベースにバヨネットマウント式の迅速なレンズ交換を可能にした最上位機、ユニバーサルは1949年に登場します。1955年にそれまでのシャッターダイアルと巻き上げノブを兼用する方式を大改良し、フィルム巻き上げ操作をレバー式としたユニバーサルRとなり、操作性がたいへん良くなりました。このRの名前の由来はRetardateur、セルフタイマーのことで、はじめてセルフタイマーが装備されました。
そして1962 年に今回ご紹介するユニバーサルRCが登場、これがフォーカルプレーンシャッター式フォカの最終機となりました。RCはファインダーが改良されて、倍率が高くなりたいへん見やすくなっています。オレンジ色のフレームが鮮明です。このカメラの製造台数は大変少なく、2,000台未満だそうです。したがってクラシックカメラ市場では高価に取り引きされるカメラとなっています。
フォカのバヨネットマウント交換レンズの主要なものは、以下のとおりです。
オプラー(Oplar)28mmF6.3 2群6枚
オプラー(Oplar)28mmF4.5 4群6枚
オプレックス(Oplex)28mmF4.5 4群6枚
オプラー(Oplar)35mmF3.5 3群4枚
オプレックス(Oplex)35mmF3.5 3群4枚
オプラー(Oplar)50mmF2.8 3群4枚
オプレックス(Oplex)50mmF2.8 3群4枚
オプラレックス(Oplarex)50mmF1.9 5群6枚
オプラー(Oplar)90mmF3.5 3群4枚
オプレックス(Oplex)90mmF3.5 3群4枚
テレオプラー(Teleoplar)135mmF4.5 2群4枚
テレオプラー(Teleoplar)200mmF6.3 2群4枚
今回撮影に使用したのは大口径F1.9の明るさを持つ、オプラレックス50mmF1.9レンズです。少し絞るとシャープでよく写ります。
弊社ではフォカと交換レンズの分解整備をお受けいたしております。どうぞご相談ください。