今月の一枚

2004年11月 ベッサR2S ニッコールN 50mmF1.1

作例1 絞りF2.8 1/2000秒 コニカ・センチュリア100 なおカメラとレンズの写真は、ニコンSPにニッコール50mmF1.1専用フード付き

 

解説

日本光学工業(現ニコン)の連動距離計式カメラ、ニコンSシリーズについては、 クラシックカメラにご興味がある方には、もはや説明の必要はないでしょう。 我が国が作り得た最高の連動距離計式カメラという評価を得て久しいニコンSP、 海外のオークションで1000万円近い落札価格記録を持つニコンS3M、数百万円の価格がつけられる初代ニコンI型など、いずれもコレクター垂涎の名機です。 また、ミレニアム記念で復刻生産されたニコンS3はたいへん話題となり、およそ50万円の価格にもかかわらず、後に登場したブラック仕様限定版をあわせると約1万台が生産されたそうです。

そのニコンSシリーズ用には、21mmから1000mmまでの大陣容の高性能な ニッコールレンズ群が用意されていました。今回は一眼レフ用も含め現在までニッコールレンズ中最高の明るさを誇る、ニッコールN50mmF1.1レンズです。このレンズはマウントの形状により内爪と外爪と呼ばれる2種類が存在しますが、両者をあわせても約2000本しか生産されなかったそうで、現在では50万円以上 もする非常に高価でかつ珍しいレンズとなっています。またこのレンズ専用のたぶん50mmレンズ用として世界最大サイズのフードには、30万円以上の値札がつくようです。

このニッコール50mmF1.1レンズは、レンズ後群のバルサム貼り合わせ部分が年代を経て劣化し、バルサム切れを起こすことがあります。今回撮影したレンズは、 そのバルサム切れを、弊社社長 早田清の手によって修理したものです。
左側が修理前、右側が修理後ですが、修理後は非常にきれいな状態になって いることがおわかりいただけるとおもいます。なお、この修理は非常に難しいものですので、費用、納期等要相談となっております。

なお今回の作例写真は修理後のレンズで撮影したものです。このレンズはF1.1開放では 画面全体に締まりのないイメージですが、F2まで絞ると中間部分まで良好になり、F2.8まで絞るとこの写真の通り画面全体が素晴らしくシャープとなります。 さすがニッコールですね!!

弊社ではニコンSシリーズカメラおよび各種交換レンズの整備が可能です。どうぞ遠慮なくご相談ください。