今月号(2004年5月号)の写真工業誌に、ニッコール85mmレンズ3本の記事を書きましたが、紙面の都合で記事にできなかったニッコール最初の85mmレンズで撮影した写真をここに掲載します。
この望遠型ゾナータイプの85mmF2レンズは、ライフ社カメラマンだったダンカンに見いだされ、世界にニッコールレンズが認められる端緒となったあまりに有名なレンズです。その描写性能の良さは言い尽くされた感がありますが、現代の高性能カラーフィルムで撮影してみると改めてその力のある描写に感動します。独特の立体感が、このようにF5.6~F8くらいまで絞っても強く感じられることが大きな魅力です。たしかに繊細な感じは乏しいのですが、そのダイナミックな雰囲気感は他のレンズでは得られないものです。50年以上昔のレンズのこのような力を発見することこそ、クラシックカメラ愛好家の大いなる楽しみです。