ドイツのツァイス・イコン社は第二次世界大戦前、世界最大のカメラメーカーとして非常に多種類のカメラを製造したことはよく知られています。 その中で蛇腹折りたたみ式スプリングカメラのイコンタ・シリーズは、同社初めてのオリジナルカメラであったと同時に、同型式のカメラの中で最高の品質と性能を持つことで大成功を収め、ツァイス・イコン社の屋台骨を支えました。
イコンタに高性能の連動距離計を装備したスーパーイコンタシリーズは、文字通りスプリングカメラの最高峰として、セミ判(6x.4.5cm)、6x6cm判、6x9cm判さらに大サイズのものまで、多くの種類が製造されました。独特のドレーカイル式連動距離計を備えたその姿は、カメラらしい精密感と高級感にあふれており、そしてカール・ツァイスのテッサーレンズの性能は現在も通用するすばらしさです。
もっとも小型のスーパーセミイコンタは日本で特に人気が高く、戦後製造されたIV型とV型は美品で10~20万円前後と、比較的高価なカメラでもありますが、それも当然でしょう。 今回は最終型のスーパーセミイコンタV型で撮影した写真をご紹介いたします。
メンテナンスについては、ドレーカイル部の分解清掃とピント調整がやや面倒であるため、一般的なレンズシャッター付き距離計連動カメラより高く、42,000円(消費税別)です。本機は弊社への修理のご依頼が多いカメラの一つです。
修理にあたっては、必要に応じて蛇腹の新品交換をいたしますし、ファインダー棒プリズムの蒸着面の不良は、反射面を再蒸着いたします。またレンズ表面のキズ等は再研磨もいたします。これらの特殊作業については別料金が必要ですが、カメラの性能や価値を考えると、完全な状態にして撮影したいというご要望がたいへん多いため、出来る限り対応いたしております。どうぞ遠慮なくご相談ください。