リコーフレックスは、我が国において第二次世界大戦後昭和20年代後半から30年代前半に起こった二眼レフカメラブームの頂点に位置したカメラです。写真のリコーフレックスVI型は昭和28年の発売ですが、銀座の三愛の前にこのリコーフレックスVI型を購入したい人が長蛇の列を作った話は有名で、また販売価格8,300円に対してプレミアムがついて1万2千円までになったそうです。
その人気の理由は、カメラの基本性能がしっかりしていて写りが大変良かったのに、他社の二眼レフよりはるかに安かったからです。当時は大メーカーから四畳半メーカーまで二眼レフを作るメーカーが乱立しており、性能は最高級だが価格も高いカメラか、安いが品質は粗悪というカメラが大多数だったなかで、リコーフレックスは人々の支持を集めたのでした。
リコーフレックスの最初のモデルは戦前昭和14年頃に登場しています。戦後は昭和25年に登場したリコーフレックスⅢ型からです。Ⅲ型は上下のレンズをギアで連動させる方式を採用、フィルムを装填する中枠が取り外せるというその後のリコーフレックスの原型となったモデルです。ボディは板金加工で作られていました。
VI型は基本的な構造はⅢ型と同じで、シャッターはリケン製でバルブのほかは、1/25、1/50、1/100の三段階です。撮影レンズはリコー・アナスチグマット80mmF3.5です。作例を見てわかるように、そのシャープさにはびっくりします。ただシャッター速度が1/100までしかないため、手ぶれしやすいので使い方に注意しましょう。
リコーフレックスは昭和31年のダイヤから新設計となり、ダイカストボディを採用した高級なカメラに発展しました。国内販売された最後のリコーの二眼レフは、昭和34年のリコマチック225です。
リコーフレックス各型の整備料金は一般の国産二眼レフと同じで、30,000円(税別)です。