マミヤプレスはマミヤが1960年(昭和35年)に発売を開始した、6x9cm判までの撮影ができる国産初のハンディプレスカメラでした。その基本的な機能や外観はドイツのリンホフ社が1958年から発売したリンホフ・テヒニカプレス23に範をとったものでしたが、アイデアあふれるマミヤが作ったカメラらしくいろいろなレンズやアクセサリーが用意され、様々なプロの仕事に使えるカメラとして長年にわたり活躍した名機です。最終モデルのマミヤ・ユニバーサルプレスは1990年頃まで販売されていましたし、それをポラロイドフィルム専用としたポラロイド600SE型(1979年発売)はポラロイドのカタログにその後もしばらく掲載されていました。本家のリンホフプレスは1963年頃には販売を終了し後継機は作られなかったので、この分野はマミヤの独壇場だったと言えます。またロールフィルムホルダーをはじめとして様々なパーツが、自作カメラの製作にも大いに活用されたことも記憶されるべきだと思います。
マミヤプレスはこのところずっと「不人気カメラ」で中古市場での価格も安く、また弊社への修理の依頼も最近までほとんどありませんでした。しかし今年になって修理の依頼が何台か続き、私も驚いています。私はこのカメラの多用性がとても気に入っていて、交換レンズやアクセサリーなどを買い集めて、撮影を楽しんできました。そしてマミヤプレス・ユニバーサルとその交換レンズ、アクセサリーなどについては、写真工業誌2006年8月号に「マミヤプレスの全貌」という記事を書かせていただきましたので、ご参照いただければ幸いです。
今回ご紹介するのは、名玉として有名なセコール50mmF6.3です。この35mm判換算で20mm相当の対称型超広角レンズの、歪みのない鮮鋭な描写に対する評価はたいへん高いもので、このレンズだけを使いたいということで、カメラのファインダー部を取り除いてしまい、目測で撮影する超広角専用カメラに改造してしまった例を数件私は知っています。それほど魅力のあるレンズです。今回も作例の数が普段より多くなっていますが、その描写を楽しんでいただればと思います。国産では3月にご紹介したフジノン50mmF5.6と双璧をなす国産6x9cm判超広角レンズの代表選手で、海外ではベリワイド100のスーパーアンギュロン47mmレンズと良い勝負ではないでしょうか。
また弊社では、マミヤプレスおよびレンズ、ファインダーなどのアクセサリー類の修理をお受けいたしております。詳細については、遠慮なくお問い合わせください。