今月はユニークなライカレンズ、マウンテン・エルマー105mmF6.3レンズをご紹介いたします。 マウンテン・エルマー105mmF6.3レンズは、正式な名称はただのエルマー105mmF6.3ですDSCN。ライカD2型と同じ1932年に発売された望遠レンズです。3群4枚構成で、レンズ径が小さいこともあって独特の外観を持っています。
外装は黒塗装で、距離環や絞り環は最初はニッケルメッキ、後にクロームメッキになりました。専用のフードとキャップが用意されていて、写真のように逆にかぶせて収納できるのは、携帯に便利ですし、レンズの保護にもなります。 このレンズは小型軽量で携帯性が特に良いことから、多くの山岳写真家に愛用されたということです。そして世界的にマウンテン・エルマーと俗称されています。実はこのレンズは製造本数約4,000本ほどと少なく、比較的珍しいものです。そのため付属品が揃い、状態のよいものはかなり高価です。
さて、最近このレンズは弊社の委託品に登場したものです。レンズの状態はとても良く、コーティングもされていたので、写りは大変よいはずでした。しかし入手されたお客様から、今ひとつという話をうかがい、写真を拝見させていただきました。そうしたらなんとひどいホットスポットが現れています。レンズの内面反射の影響です。ただちに修理をお受けし、写真のように2種類の反射防止用素材を適所に使用することで、内面反射をほぼ消すことができました。
作例写真は、修理完了後に私の愛用するライカD3に装着して撮影したものです。見事にシャープかつクリアな写真がコンスタントに撮れるようになりました。エルマーらしい素敵な雰囲気です。私もこのレンズが欲しくなってしまいました。
弊社ではオーバーホールも含めて処置いたします。どうぞ遠慮なくご相談ください。