今月の一枚

2015年10月 ミノルタ・メモ

201510_camera1L

キャップとフードをかぶせたところ

キャップとフードをかぶせたところ

背面から

背面から

底面から(巻き上げレバー格納状態)

底面から(巻き上げレバー格納状態)

上部から

上部から

フードを装着したところ

フードを装着したところ

フィルム室。圧板は平面

フィルム室。圧板は平面

ロッコール50mmF3.5レンズ

ロッコール50mmF3.5レンズ

巻き上げレバーを撮影位置にセット

巻き上げレバーを撮影位置にセット

分解整備中の様子

分解整備中の様子

 Pmemo-2


Pmemo-2

F11 1/100

F11 1/100

F8 1/100

F8 1/100

今年は珍しいミノルタ・メモの修理ご依頼が2件あり、試写をする機会がありましたので、今回ご紹介することにいたしました。

昭和24(1949)年4月に発売されたミノルタ・メモは、ミノルタが発売した35mm判レンズシャッター式カメラのなかで一番最初のカメラです。その前年の昭和23(1948)年2月にはミノルタ初の35mm判レンズ交換式フォーカルプレーンシャッター式カメラ、ミノルタ35を発売しています。第二次世界大戦後は35mm判カメラが主流となるという考えののもとで、それまでのミノルタフレックスやセミミノルタなどの中判カメラから小型カメラの製造に舵を切ったのでした。

ミノルタ・メモはその独特なデザインが特に目を引くカメラです。ボディはアルミダイカストですが、上下のカバーやかぶせ式フード、レンズキャップなどがプラスチック製で、曲面が多用されている点が斬新です。また底部に巻き上げレバーがありますが、レバー式巻き上げの採用は国産カメラでは最初のものだそうです。この巻き上げレバーもプラスチック製のため、折損してしまっているものを見かけます。フィルムカウンターはボディ上部にあり、数字が目立ってデザイン上のポイントになっています。

ボディに直づけされたシャッターユニットは、メモシャッターと呼ばれた2枚羽根の独自のもので、1/25、1/50、1/100の3速に切り替えられ、バルブも可能でした。またシンクロ接点も備えていていました(F接点)。シャッターのチャージーはレバーによるフィルム巻き上げに連動しています。

レンズはロッコール50mmF4.5で、3群3枚のトリプレットタイプです。ピント調整は目測式ですが、直進ヘリコイドによるレンズ全群移動で、最短撮影距離は1mでした。ファインダーは逆ガリレイ式で、倍率は0.84倍、フレームなどはありません。

このカメラは大ぶりな感じですが、曲面が手に良くなじむ感じで、各部の操作も簡単で使いやすいカメラです。レンズキャップをかぶせてから、さらにレンズフードを反対にしてかぶせて固定することができるようになっていて、ケース代わりに前板部を保護することができるようになっています。ただこのフードはプラスチック製で壊れやすかったのでしょうか、現在フード、キャップ付きのミノルタメモは本当に稀少のようです。

今回分解整備後試写した写真を見ると、その写りは現在も常用できるシャープなもので、ロッコールレンズの優秀性がよくわかるものでした。飾っておいてもとても素敵なカメラで、状態の良いものが欲しくなりますね。このカメラの修理については、どうぞ遠慮なくご相談ください。

★撮影に使用したフィルムはフジ業務用フィルム(ISO100)