今月の一枚

2017年8月 スーパーネッテルⅡ

スーパーネッテルⅡ

接眼部は右が距離計、左がファインダー。接眼部の位置が微妙にずれている

収納したところ

蛇腹折り畳み式カメラである

コマ数計は加算式で、最初は手で合わせる

テッサー50mmF2.8レンズ

シャッターは金属製鎧戸式縦走りフォーカルプレーン

本革ケース

F11 1/250

F11 1/250

F2.8開放 1/250

F11 1/250

F11 1/250

戦前世界最大のカメラメーカーであったドイツのツァイス・イコン社は、35mm判高級カメラでライカと対抗すべくコンタックスⅠ型を登場させました。続いて35mm判カメラの普及機として、コンタックス1型と同じ金属製鎧戸式縦走りフォーカルプレーンシャッターを搭載したスーパーネッテルを1934年に発売しました。当時普及型の35mm判カメラにはレンズシャッターを採用したカメラがほとんどだったのですが、ツァイス・イコンがレンズシャッターを搭載した35mm判コンパクトカメラを発売するのは、もっと後になってからになります。

スーパーネッテルはテッサー50mmF3.5あるいはトリオター50mmF3.5レンズを固定したカメラで、ピント合わせはツァイス・イコンお得意のドレーカイル式を採用している点が他社には見られない特徴になっています。蛇腹折り畳み式を採用したそのデザインは、黒塗りの塗装でクラシックな独特の雰囲気が漂い、カメラ好きにはとても人気のあるカメラです。コンタックスと同じシャッターを搭載してはいますが、シャッター速度の変更方式はダイヤルを目的の速度指標にあわせるだけと、簡便で素早い方法に改良されており、なによりフィルム巻き上げノブを兼ねたシャッターダイアルが、ボディ上部にうつったので操作性がコンタックスⅠ型より大幅に向上しています。この方式はその後コンタックスⅡ・Ⅲ型に引き継がれることになります。

1936年にボディ全体を当時最新の外装仕上げであったクローム仕上げとした、スーパーネッテルⅡ型を発売しました。これが今回ご紹介するカメラです。同時に搭載レンズはテッサー50mmF2.8になりました。ほぼ同時にツァイス・イコン社は、レンズ交換が可能な普及型カメラ、ネタックスを発売、コンタックスを最上位としてネタックス、スーパーネッテルⅡという3階層のラインアップとしました。しかしながらネタックスもスーパーネッテルⅡも商業的には成功せず、いずれも生産台数は約2,000台で、現在では稀少なカメラとして中古市場では比較的高価なカメラになっています。

今回は久しぶりにスーパーネッテルⅡを撮影に使いましたが、ドレーカイル式距離計の正確なことに改めて感心しました。絞りF2.8開放でもぴったりピントが合います。また構造上この距離計は衝撃にも強く、軽くぶつけたくらいでは距離計が狂うことがありません。テッサー50mmF2.8レンズは、ノンコーティングにもかかわらずコントラストが高く、カラーでも良く色がでました。作例写真はどれもシャープでよく写っています。このスーパーネッテルⅡは、使い方にもすぐ慣れますし、とても写しやすいカメラです。

弊社ではいずれの機種も修理可能です。どうぞ遠慮なくご相談ください。

フィルムはフジ業務用フィルム100