ドイツのフツーラ(Futura)というマイナーなカメラを知ったのは、カメラを集め始めてしばらくたってからのことでしたが、実際に写真を撮影したのは今回が初めてです。
フツーラは1942年に設立されたOptische Anstalt Frintz Kuhnertが前身で、1951年にFutura Kamerawerk G.m.b.H.に名前が変わりました。1956年頃には会社がなくなっています。
フツーラの最初のカメラは1947年頃のエフカ(Efka)24という、35mmフィルム上に24x24mmの正方形フォーマットの写真を撮影する、シンプルな小型カメラでした。特徴としてはレンズ交換式で、ビハインドシャッターになっていました。シャッターユニットはコンパーラピッドを採用していました。レンズ鏡胴部の先端には会社名のフリンツ・クーネルトの刻印があります。このカメラは非常に珍しいものです。
1950年頃からフツーラという新しいモデルをスタートしました。後にこれが会社名となっています。フツーラはレンズシャッター式の35mm判カメラで、距離計連動でレンズ交換式という高級なスペックを備えています。特にフリロン(Frilon)50mmF1.5やフリロン75mmF1.5といった大口径レンズが用意されていたことで、今も注目されています。
その後フツーラはシャッターユニットがプロンターとシンクロコンパーのモデルにわかれ、それぞれフツーラP(Futura-P)とフツーラS(Futura-S)と呼ばれています。Pタイプは普及型でレンズもフツーラ45mmF3.5といった暗いレンズを装着して安価に販売されました。セルフタイマーもありません。このモデルはカメラ正面のフツーラの文字板が黒色であることで、すぐに識別できます。
Sタイプは最高速1/500秒のシンクロコンパー付きの高級バージョンで、レンズもフリロンF1.5クラスの大口径レンズを装着して販売されました。こちらは文字板がクロームメッキされています。セルフタイマーも備わっています。
Sタイプはさらに発展してレバー巻き上げ式となったSⅢ(1956)が登場し、そのトップカバーデザインが変更となったモデルが最終機となりました。
フツーラの交換レンズとしては、35mmから90mmの範囲のものが9種類ほど用意されていました。標準レンズはボディのねじ込みマウントにそのままねじ込むだけで使用できますが、交換レンズはボディマウント内部の契合部にレンズの契合部を合わせて装着し、ネジで固定するという凝った方法を採用しています。ボディのヘリコイドと距離計をそのまま利用するためで、 RFコンタックスと原理的におなじ方式になっています。ボディのファインダーは50mm用ですので、交換レンズの焦点距離に応じた外付けファインダーが用意されていました。
今回撮影に使用したのはフツーラSで、標準レンズはエバール50mmF2でした。交換レンズは広角35mmF4.5のアンプリゴンと中望遠のテレ・フタール75mmF3.8です。アンプリゴンとエバールはなかなかシャープでまずまず良く写るレンズでした。テレ・フタールは絞っても四隅が流れますが、中心はシャープです。カメラの操作はしやすく、コンパーシャッターなのでシャッターの切れも良く撮影を楽しめました。楽しいカメラです。
なお、弊社では以上すべてのカメラの整備が可能です。どうぞ遠慮なくご相談ください。
★フィルムはフジ業務用フィルム