弊社社長の早田によれば第二次世界大戦後の5大距離計連動型6x9cm判スプリングカメラは、スーパーイコンタV型、テレロア、ベッサII 、オートレンジ820、そしてテルカIII型と言われているそうです。今回ご紹介するのはフランスのデュマリア(Demaria)社が、戦後間もない1948年頃から発売したテルカⅢ型(Telka Ⅲ)です。デュマリア社は日本では江戸時代末期の1848年(嘉永元年)に創立されています。正式名称をデュマリア・ラピエール・モリエール社といい、吸収合併した会社名がつながっています。19世紀中頃からカメラの製造を開始し、多種類のカメラを製造したそうです。
デュマリア社は戦前からデエール(Dehel)という中判スプリングカメラを製造していましたが、これに連動距離計機構を備えたカメラがテルカⅢ型です。当時のフランスでは最高のスペックを持ったスプリングカメラで、最初期のレンズは4群4枚構成のサジッタル(Sagittar)95mmF3.5です。しかし1950年頃には同じ名前で3群4枚構成のテッサータイプに変更されています。シャッターはドイツ製のブロンター2型で、その後プロンターSV、SVSと変わっていきます。連動距離計は二重像合致式で、ピント合わせはシャッターユニットを含む前板部全体をヘリコイドで前後させる方式です。最短撮影距離は1.6mです。
テルカⅢ型は高級スプリングカメラとして標準的なスペックを備えていて、使い勝手も良好です。外観のデザインはピカピカ光る上カバーが特徴的で、折りたたんだ姿にフランスらしいエスプリを感じます。テルカⅢ型はおよそ1万台程度が製造されたそうです。
テルカシリーズはその後距離計のないテルカⅠ型、セミ判(6×4.5cm判)のテルカⅡ型、簡易型のテルカXとテルカXX型が発売されましたが、1964年頃デュマリア社はカメラ製造事業から撤退してしまいました。
弊社ではテルカシリーズの整備が可能です。