今月の一枚

2020年4月 イコフレックス・ファボリット

イコフレックス・ファボリット 撮影状態

イコフレックス・ファボリット

ピントノブの内側に露出換算表がある

イコフレックス・ファボリット

裏蓋の開閉方向はローライフレックスとは逆

イコフレックス・ファボリット

レンズキャップはプラスチック製のかぶせ式

イコフレックス・ファボリット

底部に製造番号がある

イコフレックス・ファボリット

フィルム装填は完全自動式

イコフレックス・ファボリット

テッサー75mmF3.5レンズ

イコフレックス・ファボリット

テッサー75mmF3.5レンズ 2006年5月19日撮影

イコフレックス・ファボリット

テッサー75mmF3.5レンズ 2006年5月19日撮影

イコフレックス・ファボリット

テッサー75mmF3.5レンズ 2006年5月19日撮影

イコフレックス・ファボリット

テッサー75mmF3.5レンズ 2006年5月19日撮影

イコフレックス・ファボリット

テッサー75mmF3.5レンズ 2011年8月25日撮影

イコフレックス・ファボリット

テッサー75mmF3.5レンズ 2011年8月25日撮影

イコフレックス・ファボリット

ノバー75mmF3.5レンズ 2011年10月28日撮影

 

第二次世界大戦前世界最大のカメラメーカーであったドイツのツァイス・イコン(Zeiss Ikon)社は、1930年代の最盛期にはいろいろなタイプのカメラを次々に新規開発し市場に投入、絶対王者を目指していました。6x6cm判全金属製二眼レフの分野では、世界に先駆けて同タイプのカメラを開発した同じドイツのフランケ&ハイデッケ社のローライフレックス(Rolleiflex)とローライコード(Rolleicord)がトップブランドとして人気を集めていましたが、ツァイス・イコン社は1934年にローライフレックスに対抗して新規に開発したイコフレックス(オリジナル)を発売しました。ローライフレックスとデザイン上の違いを出すためか、前板部が六角形になっていることが目を引きますが、全体としては地味な印象の二眼レフカメラです。

その後イコフレックスはベースモデルのⅠ型と上位機のⅡ型を基本として改良を重ねて15モデルがあり、人気が高いのは1939年に登場した戦前最後のモデルであるイコフレックスⅢ型です。ピントフードを起立させるとフレームファインダー用の大きなアルバダが現れ、ボディ各部の角がメッキ仕上げになっていて、豪華な印象でとても人目を引くカメラです。イコフレックスシリーズ唯一のクランク式巻き上げを採用し、レンズもテッサー80mmF2.8と当時のローライフレックスよりも大口径のレンズが搭載されているなど、Ⅲ型の文字通りの最高級機でした。

戦後はイコフレックスⅠa(1950年)から再スタートしましたが、二眼レフの人気が世界的に低迷するようになったため、1957年に登場したイコフレックス・ファボリット(Ikoflex Faborit)が最終型となりました。写真のモデルがそれです。ファボリットはその前モデルであったイコフレックスⅡa型(1953年)を改良し、フィルム装填後フィルム厚を自動検知することでローライフレックス同様のフルオートマット機構を実現しました。さらにイコフレックスⅠc(1956年)ではじめて搭載された単独露出計も装備しました。最終型というここともあり、とても使いやすくよく写るカメラに進化しました。

イコフレックス・ファボリートにはレンズが二種類あり、3群4枚構成のテッサー75mmF3.5と3群3枚構成のノバー75mmF3.5です。もちろんテッサーが上位機で当時の販売価格も高価でしたが、ノバーの写りも決して悪いものではなく、作例写真の通り少し絞ればテッサーに負けず劣らずのシャープな描写を楽しむことができます。

弊社ではイコフレックス前モデルの修理や整備が可能です。遠慮なくご相談ください。

なお、現在新型コロナウイルス対策による外出自粛要請のため、浅草などの観光地は人出が激減しています。写真を撮影しに出かけることもためらわれるような状況のため、かつて撮影してあった写真を作例として使用させていただきました。懐かしい写真もあり、写真の持つ記録としての価値を改めて強く感じています。今閑散としている浅草の写真も、そのうちに記録として価値を持つことと思います。