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今月の一枚  2008年3月
レナウンⅡa H-コンゴー75mmF3.5
Renown Ⅱa H-Congo 75mmF3.5

レナウンⅡa H-コンゴー75mmF3.5   レナウンⅡa H-コンゴー75mmF3.5
  作例1 浅草寺境内 1/200 F11 フジ160S
   
レナウンⅡa H-コンゴー75mmF3.5 折り畳んだ姿。 レナウンⅡa H-コンゴー75mmF3.5 作例2 一言不動尊
1/200 F11 フジ160S
レナウンⅡa H-コンゴー75mmF3.5 背面から。   レナウンⅡa H-コンゴー75mmF3.5 作例3 改修中の柳通
1/200 F11 フジ160S
レナウンⅡa H-コンゴー75mmF3.5 ボディ内部。    
レナウンⅡa H-コンゴー75mmF3.5 H-コンゴー75mmF3.5レンズとレナウンシャッター。    
レナウンⅡa H-コンゴー75mmF3.5 整備中の様子。    
     

解説

 写真工業の2008年3月号P.102~103に(株)山崎光学研究所の記事が掲載されていますが、たまたま弊社にコンゴーレンズが装着された 6x6cm判スプリングカメラ、レナウンⅡa型の修理のご依頼があり、整備完了後に試写もできましたのでご紹介いたします。

 レナウンⅡaは藤原製作所というところが製造したそうですが、メーカーとカメラについて詳しい資料は残念ですが手元にありません。国産カメラ図鑑改訂版 によれば、レナウンシックスⅠa型は1953年に発売されたそうです。

  カメラの構造は、たすき1本で前蓋を支える蛇腹折り畳み式で、国産の6x6cm判スプリングカメラによく見られるものです。やや高級な仕様と言えるのは、 ボディ上部に単独距離計を備えていている点です。測距したら、その値をレンズのピント指標に移し替えます。レンズのピント調整は前玉回転式です。距離計の 測距範囲は1.2mまでで、レンズの距離指標も1.2mまでですが、それを越えて回転するのでおよそ1mくらいまでは近接撮影が可能なようです。

 シャッターはレナウンという名前が付けられていて、1秒~1/200秒の範囲です。セルフタイマーも備わっています。レリーズボタンはボディ上部にあり ます。フィルム送りは赤窓式、二重露出防止装置はありませんから、シャッターを切ったら必ず巻き上げるといった約束を決めておかないと、二重写しやから写 しの失敗をしてしまうことがあります。そのほか各部の操作はごく一般的なもので、慣れれば容易に使えるカメラです。

 レンズは山崎光学製のH-コンゴー75mmF3.5で、分解したところでは3群3枚のトリプレットのようです。なおメーカー名がYAMASAKIになっ ています。YAMAZAKI銘のコンゴーレンズが一般的ではないかと思いますが、どういう理由なのかはわかりません。

 試写結果はご覧の通りです。画面中心部は非常にシャープなのですが、絞りをF11程度まで絞っても四隅にはっきりとした周辺減光が残り、またその部分は 甘いようです。

 コンゴーレンズの由来や現状に関しては写真工業誌に詳しいので、そちらをご参照ください。現在注文生産と言うことですが、コンゴー大判カメラ用レンズを 入手できることは喜ばしいことです。

  なお国産のカメラにはほかにもコンゴーレンズが装着されたカメラがあり、たとえば隅田光機製作所のプラウド・クローム・シックスⅢ型(Proud Chrome Six Ⅲ、1951年頃)や東郷堂のシンコーラビットⅡ型(Shinkoh Rabbit Ⅱ、1951年頃)などが知られています。

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