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今月の一枚  2008年4月
マーシャルプレス  ニッコールQ 105mmF3.5
Marshal Press Nikkor-Q 105mmF3.5

マーシャルプレス  ニッコールQ 105mmF3.5   マーシャルプレス  ニッコールQ 105mmF3.5
  作例1 雷おこし 1/250 F11 フジ160S
   
マーシャルプレス  ニッコールQ 105mmF3.5 前板部シャッター等操作部。 マーシャルプレス  ニッコールQ 105mmF3.5 作例2 飯田屋
1/125 F8 フジ160S
マーシャルプレス  ニッコールQ 105mmF3.5 右側面距離指標部。   マーシャルプレス  ニッコールQ 105mmF3.5 作例3 隅田公園桜1
1/250 F11 フジ160S
マーシャルプレス  ニッコールQ 105mmF3.5 フィルム室および背面部。   マーシャルプレス  ニッコールQ 105mmF3.5 作例4 隅田公園桜2
1/250 F11 フジ160S
マーシャルプレス  ニッコールQ 105mmF3.5 テレコンバージョンレンズ2種。    
マーシャルプレス  ニッコールQ 105mmF3.5 カメラケース。    
     

解説

 マーシャルプレスは、マミヤ光機の創立者の一人であり、マミヤシックスに代表される中判カメラの数々の名機を設計した間宮精一氏を顧問に迎えて創 立されたマーシャル光学が、1966年(昭和41年)に発売した6x9cm判のプレスカメラです。もちろん設計は間宮清一氏の手によるといいます。

 このカメラには、いろいろな独創的な機構が組み込まれています。このカメラのために新設計されたという3群4枚構成の標準レンズ、ニッコール Q105mmf3.5はボディに固定されています。このため望遠コンバージョンレンズを前に装着して、135mmf4.7と150mmf5.6に変換する ことができました。このコンバージョンレンズは1群2枚構成で、もろちん日本光学製です。ニコンではテレアタッチメント方式と呼んでいました。

  コンバージョンレンズを装着するとF値が変化してしまうという問題がありますが、その値はコンバージョンレンズの鏡胴部に刻まれていて、装着時にはオリジ ナルレンズのF値指標を覆うようになっています。またこの変換された焦点距離にあわせて、ファインダーが0.6倍から0.85倍まで変倍し、同時に距離計 連動範囲がコントロールされるというユニークな機構が備わっています。これは背面のピントノブを何回転かすることで、変更するようになっています。

  一眼式ファインダーの距離計は基線長が60mmでパララックス自動補正式、標準レンズでは無限大~1mまで距離計に連動します。それから先は距離計は連動 しなくなるのですが、蛇腹を伸ばせば最短30cmまで近接撮影ができるのです。135mmにしたときには最短距離が1.5m、同じく150mmにした時に は3.2mまで連動します。

  ピント合わせはサムフォーカシング方式とメーカーは呼んでいましたが、ボディ背面上部のダイヤルを親指で回転させて行います。マミヤシックスとの共通点を 感じるところです。ただしピント合わせはマミヤシックスのバックフォーカシング方式とは異なり、蛇腹が伸縮して前板部が前後することによります。

  シャッターボタンはボディレリーズ方式でボディ右手側上部にあります。シャッターはセイコーS0番でB、1秒~1/500秒。セルフコッキング機構はあり ませんから、撮影のたびにシャッターをチャージする必要があります。

  撮影は120フィルムを使用して8枚、220フィルムを使用して18枚可能で(ただし120と220は中枠を交換する)、1枚撮りもできました。ロール フィルムを使用する場合には、スタートマークを合わせると以後は自動巻き止めで制御されるいわゆるセミ・オートマット式です。フィルムカウンターは裏蓋を あけると自動的に0に復元します。このフィルムバック部は、形は異なるものの各部の構造や操作はマミヤプレス用のフィルムバックととてもよく似ています。 なお1枚撮りの場合は乾板用取り枠をセットしますが、ピントグラスを装着してピントを確認でき、そのためシャッターには大判レンズ用シャッターのような シャッター開放機構が備わっています。

  さてレンズの描写ですが、標準105mmレンズは開放からシャープな描写です。しかしテレコンバージョンレンズを装着すると、135mmはf4.5開放で は美しい軟調描写、f5.6ではきわめて弱いフレア描写、f8~f45ではシャープな描写、同様に150mmはf5.6開放で美しい軟調描写、f8ではき わめて弱いフレア描写、f11~f64ではシャープな描写になると公表されていました。つまりコンバージョンレンズをつけた状態では、かなり収差が出ると いうことでしょう。日本光学のレンズシャッター式一眼レフ、ニコレックスのフロントコンバージョンレンズも似たような結果となっていたことを思い出しま す。

  標準のボディサイズは225x177x160mmで、重量は約2kgです。実際に手にしてみると、意外に軽く感じます。販売は特約店の美スズ産業取り扱 い、標準セットが59,800円、125mmf4.7と150mmf5.6のコンバージョンレンズがそれぞれ8,500円でした。さすが間宮精一氏設計の カメラだけあり、今見てもたいへんにユニークでかつ実用的に使用できるであろうカメラですが、販売面では成功したとは言い難かったようで、結局マーシャル 光学はこのカメラ一機種を世に送り出しただけでした。

  今回縁あって私の手元にきたこのマーシャルプレスですが、6x9cm判という大きなサイズに、実にシャープなイメージを結んでくれることに大いに満足しま した。まだコンバージョンレンズは使用していませんが、標準レンズだけでも風景写真などの用途に大いに活躍してくれることでしょう。

  なお弊社では、オーバーホール等の整備が可能です。

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